「きょうだい児」ってご存知ですか?――障害のある兄弟姉妹をもつ子どもへの配慮

「お兄ちゃんだから我慢してね」「妹の面倒をよろしくね」——障害のある兄弟姉妹をもつ子どもたちは、そう声をかけられる場面が少なくありません。近年、こうした子どもたちは「きょうだい児」と呼ばれ、その存在や気持ちに光が当てられるようになってきました。家庭の中で頑張り屋・しっかり者として振る舞うことが多いぶん、周囲から見えにくい悩みを抱えていることもあります。今回は、きょうだい児という視点から、家庭や地域でできる配慮について考えてみます。

「きょうだい児」とはどんな子どもたちか

きょうだい児とは、障害や病気のある兄弟姉妹をもつ子どものことを指す言葉です。家庭の中では、どうしても障害のある子どものケアや通院、療育の付き添いに時間や気持ちが向きやすくなります。その結果、きょうだい児は「自分のことは後回しにする」「親に心配をかけないよう自分の気持ちを抑える」といった振る舞いを、幼いうちから身につけてしまうことがあるといわれています。しっかりしている、聞き分けがいいと評価される一方で、本人の中には「自分も甘えたい」「もっと自分を見てほしい」という思いが残っていることも少なくありません。まずは、きょうだい児という立場そのものが、子どもにとって特有の負担を伴い得ることを、周囲の大人が理解しておくことが出発点になります。

きょうだい児が抱えやすい思い

きょうだい児が感じやすい思いには、いくつかの傾向があるとされています。ひとつは「注目してもらえない寂しさ」です。親の関心や時間がどうしても障害のある兄弟姉妹に向きがちになるため、自分の学校での出来事や悩みを話すタイミングを見つけにくいと感じる子どももいます。もうひとつは「将来への漠然とした不安」です。「大きくなったら自分が兄弟姉妹の面倒を見ることになるのだろうか」という重さを、誰にも相談できないまま抱え込んでしまうケースもあります。さらに、友人関係の中で兄弟姉妹のことをどう話せばいいかわからず、距離を置いてしまう子どももいます。こうした思いは、本人が言葉にしてくれるとは限りません。だからこそ、周囲が「何か抱えているかもしれない」という前提で関わる姿勢が大切になります。

家庭・地域でできる具体的な配慮

家庭でできる工夫として、まず挙げられるのが「その子だけの時間」を意識的につくることです。短い時間でも、きょうだい児と一対一で向き合う時間があるだけで、子どもは「自分も大切にされている」と感じやすくなります。また、兄弟姉妹の障害や病気について、年齢に応じてわかりやすく説明しておくことも助けになります。事情がわからないまま育つと、かえって不安や誤解が大きくなることがあるためです。学校や地域との連携も欠かせません。富士見市やふじみ野市、志木市、三芳町、新座市、川越市など東武東上線沿線の各市町村には、放課後等デイサービスや児童発達支援の事業所、相談支援事業所があり、家庭だけで抱え込まず専門職やスタッフに相談できる体制が整いつつあります。きょうだい児同士が思いを共有できる交流会やイベントを行っている団体もあるため、地域の情報にアンテナを張っておくとよいでしょう。

ありがちな誤解

「きょうだい児はしっかりしているから大丈夫」という見方は、慎重に扱いたい誤解のひとつです。しっかりして見える態度が、実は「甘えてはいけない」という我慢の表れであることも少なくありません。また、「きょうだい児だから将来は福祉や介護の道に進むはず」と周囲が決めつけてしまうことも避けたい点です。進路や生き方は本人が選ぶものであり、兄弟姉妹の存在によって将来を規定されるべきではありません。きょうだい児という言葉は、子どもを型にはめるためではなく、見えにくい負担に気づくための視点として使いたいものです。

頼れる窓口・つながり方

きょうだい児本人の気持ちについて相談したいとき、また家族全体のケアの負担について悩んだときは、ひとりで抱え込まず、地域の相談支援事業所や児童発達支援センター、学校のスクールカウンセラーなどに話してみることをおすすめします。きょうだい児同士が経験を分かち合える場や、親向けの相談窓口を設けている団体もあります。まずは身近な窓口に「こんなことで悩んでいる」と声をかけることから始めてみてください。

編集部からのメッセージ

きょうだい児という言葉を知ることは、家庭の中で見過ごされがちな子どもの気持ちに気づく第一歩になります。「頑張っているね」だけでなく、「あなた自身はどう感じている?」と問いかける時間を、少しずつでも積み重ねていただければと思います。

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