「外には出られるのに、学校には行けない」——この状況をどう受け止めればいいか
「昨日は近所の公園で友達と楽しそうに遊んでいたのに、今日は学校に行けない」——そんな状況を目にしたとき、どんな気持ちになるでしょうか。「サボっているんじゃないか」「都合のいいときだけ元気なのでは」という思いが頭をよぎる方も、きっと少なくないと思います。
でも、「外は大丈夫なのに学校だけ行けない」という状態は、不登校の子どもたちにとって珍しいことではなく、むしろよく見られるパターンです。この記事では、この「矛盾に見える状況」の背景を一緒に整理しながら、保護者の方がどう関わっていけるかを考えてみたいと思います。
「外に出られる=元気」とは限らない理由
学校に行けない状態と、「外にも出られない状態」は、必ずしも同じではありません。不登校の背景には多くの場合、「特定の場所・状況・人間関係」への強いストレスや不安があります。「外に出ること一般」への抵抗と、「学校という特定の環境への抵抗」は、全く別のものです。
脳や身体は強いストレスを繰り返し経験した場所・状況を「危険なシグナル」として記憶することがあります。教室の空気、先生の声のトーン、チャイムの音——学校に関わるあらゆる要素が、以前つらかった経験と結びついているとき、身体が無意識に拒否反応を起こすことがあります。
一方、1対1の友達との遊びや見慣れた公園には「評価されない」「自分のペースで動ける」「嫌になったら帰れる」という安心感があります。「学校だけ行けない」のは、その子にとって学校がそれだけ大きなストレス源になっているということの、裏返しでもあります。
「ずるい」と感じてしまうのは、自然なこと
「ゲームはするのに宿題はしない」「友達とは遊べるのに学校には来ない」——これを見て、腹が立ったり「都合よくやっている」と感じたりするのは、保護者として自然な感情です。その気持ちを「持ってはいけない」と封じ込める必要はありません。
ただ、多くの場合、子どもが意図的に「学校だけ拒否」しているわけではありません。友達との遊びには「プレッシャーがない」「失敗しても笑われない」「自分が主導権を持てる」という要素が重なっています。学校には「成績で評価される」「時間割に縛られる」「クラス全員の視線がある」という要素が重なっています。同じ「社会的な場」でも、子どもが感じる重さは全然違います。
「わかってはいるけど、やっぱりもやもやする」——そう感じたまま付き合い続けることは、親御さんにとって本当に消耗します。そのもやもやを誰かに話せる場所を持っておくことが、長い目で見て親御さん自身を守ることにもなります。
「外に出られている」は、じつは大切なサイン
不登校が長引くにつれ、外出そのものが難しくなっていくケースもあります。部屋から出られない、カーテンを閉めっぱなしにしている、家族とも言葉を交わさない——そういった状態と比べると、「友達と遊べている」「外に出られる」という状態は、子どもが社会とのつながりを保てているというポジティブなサインでもあります。
「外に出られるなら学校にも行けるはず」と急かすのではなく、「友達と遊べていること」を、ひとまず安心のタネとして受け止めてみてください。その関係性こそが、後から動き出すときの土台になることがあります。
避けたい言葉と、代わりにできる声かけ
日常の中でつい口から出てしまいがちな言葉が、子どもには予想外に重く響くことがあります。
避けたい言葉の例:
- 「外に出られるなら、学校くらい行けるでしょ」
- 「遊べるのに勉強はできないの?」
- 「○○ちゃんは学校行ってるのにね」
これらは、責める意図がなくても子どもには「そこまでわかってもらえない」という失望として伝わることがあります。特に「外に出られるのに」という言葉は、本人が一番感じている矛盾と後ろめたさを直撃します。
代わりにできること:
- 友達との外出から帰ってきたら「どうだった?」とだけ聞く
- 「楽しそうだったね」「よかった」と、素直に伝える
- 学校の話題は、子どもが自分から出してきたときだけ応じる
「遊びの話は聞いてもらえるけど、学校の話になると親の顔が変わる」という空気を感じさせないことが、子どもが気持ちを話しやすい関係を保つうえで大切です。
「学校以外でできること」を、一緒に少しずつ
友達と遊べる、外に出られる——その「できていること」を土台にしながら、次の選択肢を無理なく探してみることができます。
- 放課後だけ友達に会いに行く——担任の先生と事前に話しておくと、子どもも気持ちが楽になることがあります
- 体育祭・文化祭などの行事から参加してみる——「行事だけ出た」という経験が次へのきっかけになることも
- 保健室・相談室への登校から慣らす——教室のプレッシャーを外した環境から始める方法
- 適応指導教室・教育支援センターに通う——出席にカウントされる場合もあり、在籍校の先生と確認を
富士見市・ふじみ野市・志木市・新座市・朝霞市など東武東上線沿線のご家庭では、適応指導教室や教育相談窓口を通じて「週1〜2日、学校ではない場所に通う」ところから始めたことで、少しずつ動き出したというケースが聞かれます。急がなくていい、ゆっくりで十分です。
腑に落ちないまま悩んでいる親御さんへ
「外には出られるのに学校には行けない」という状況に、すっきり納得できなくても、それで当然です。「これは本当に病気なのか」「甘えではないのか」「このまま待っていていいのか」——どれも、答えが出ないまま続く問いです。
迷ったとき、腑に落ちないことがあるとき、一度相談窓口に話してみることで、気持ちが整理されることがあります。「子どものため」だけでなく、「自分が腑に落ちるため」に相談することも、立派な理由です。富士見市 教育援護会の相談窓口は、「まだ様子を見ている段階」のご家庭でもお声がけいただける場所です。
編集部から
「外には出られるのに、学校には行けない」——この言葉を「矛盾している」ではなく、「それだけ学校がしんどい場所になっている」と読み替えてみることが、一つのヒントになるかもしれません。
友達と楽しそうにしている姿を見ながら、複雑な気持ちを抱え続けるのは、本当に疲れます。その疲れを誰かに話せる場所が、親御さんにもあってほしいと思います。
教育援護会について
本サイト「教育援護会」は、埼玉県富士見市を拠点に教育・子育てのサポートを行うNPO法人です。富士見市から教育相談窓口の委託を受けており、不登校サポート・学び直し・独自奨学金・地域ボランティアを通じて、お子さま・保護者・地域に寄り添う活動を続けています。
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