夏休みが終わるとき、また行けなかったら——9月を前に、不登校の親子が知っておきたいこと

夏休みが近づくたびに、ちょっとだけホッとする——不登校のお子さんを持つ保護者の方から、よく聞く言葉です。「学校に行かなくていい期間」は、子どもにとっても親にとっても、少しだけ緊張がほぐれるとき。でも、その夏休みが終わりに近づくにつれて、また別の不安がやってきます。「9月、またうちの子は行けないのかな」「どう声をかければいいのか」「このまま進級したら……」

この記事では、夏休みが終わるという「節目」に、不登校のご家庭が少し楽に向き合えるよう、一緒に整理してみたいと思います。

9月は「不登校が増えやすい時期」として知られています

文部科学省の調査でも、夏休み・春休みといった長期休暇が明けた直後は、新たに不登校になる子・再び行けなくなる子が増える傾向が確認されています。特に9月1日前後は子どもたちの心理的な負荷が高まりやすい時期として、学校現場でも注目されてきました。

「みんなと久しぶりに会う」「夏休みの話題についていけるかな」「どんな顔して教室に入ればいいんだろう」——長期間、学校から離れていた子にとって、この節目は言葉にならない不安の塊になることがあります。

親御さんとしても「9月こそ行けるかも」という期待と、「また行けなかったらどうしよう」という不安が同居している、という方は少なくないのではないでしょうか。そのどちらも、お子さんへの真剣な思いからくるものです。

夏休み中の子どもの気持ち——「ホッとしている」と「焦っている」が同居する

不登校の子どもにとって、夏休みは少し複雑な期間です。学校に行かなくていい分、プレッシャーから解放される側面はあります。一方で、「自分だけ宿題もしていない」「友達は部活で顔を合わせているのに」という焦りや疎外感が出てくる子も少なくありません。

また、家にいる時間が長い分、親御さんの「何かできることはないか」という気持ちが知らず知らずのうちに伝わってしまうこともあります。子どもが「このままじゃダメだ」と自分を責める気持ちを強めやすいタイミングでもあります。

夏休み中は、「何もしなかったわけじゃない」という目線で過ごした時間を振り返ってみてください。好きなことに熱中した、睡眠が少し整ってきた、一緒にご飯を食べられた——その一つひとつが、次への土台になっています。

「9月から行けそう?」——その問いかけが逆効果になることも

夏休みが終わりに近づくにつれ、「来週から行ってみる?」「2学期からどうする?」と、つい聞きたくなります。お子さんの意思を確認しようとする優しさからくるものですし、ごく自然な気持ちです。

ただ、子どもが「行けないかもしれない」という予感をすでに持っているとき、この問いかけは「行けない自分を告白しなければならない」プレッシャーになることがあります。「うん」と答えながら、内心では深く傷ついている場合もあります。

一つの方法として、「どうする?」より「行きたくなったら教えてね、待ってるよ」とだけ伝えておく、というスタンスが参考になるかもしれません。意思決定の主導権を子どもに渡しておくことで、「行きたくなったときに言い出せる余地」を作ることができます。

「行ってみようかな」と言い出したとき——歓迎しつつ、ゆっくりで

夏休み明けに向けて、お子さんから「行ってみようかな」という言葉が出てきたとき——嬉しさの反面、どう対応すればいいか戸惑う親御さんも多いです。

このタイミングで大切なのは、「よかった、明日から毎日ね」ではなく、「試してみようね。うまくいかなくても大丈夫」という受け止め方です。段階的な登校の選択肢として、こんな形もあります。

  • 保健室・相談室登校——教室に入らず、まず学校の空気に慣れるところから
  • 遅刻・早退登校——人が少ない時間帯に、短時間だけ
  • 別室での授業参加——担任や学校と事前に話し合っておく
  • 行事だけ参加する——体育祭・文化祭などを一つの機会として使う

いずれの場合も、事前に担任の先生と「こういう形で来たいと言っています」と連絡しておくと、学校側の受け入れ体制が整いやすくなります。「突然行ったら先生も困るかも」という子どもの不安も、事前のひと言で和らぐことが多いです。

「やっぱり行けなかった」——そのとき、親はどう声をかける?

「9月から行く」と言っていたのに、前日の夜から体調が悪くなって、結局行けなかった——これは、珍しいことではありません。意欲があった分だけ、子ども自身がいちばんつらい思いをしています。

このとき「また行けなかったね」「ちゃんと言ってたのに」という言葉は、たとえ責めるつもりがなくても子どもには重く響きます。夏休み明けの「行けなかった経験」は、長期化の引き金にもなりやすいため、このタイミングの声かけはとても大切です。

代わりに、「行こうとしていたことはわかってたよ」「今日はつらかったね」と、子どもの気持ちと努力にまず触れること。行動の結果よりも、そこに至るまでの過程を認めることが、次の一歩への安心感につながります。

親御さん自身の「また行けなかった」という落胆も、正直な感情です。その気持ちは子どもにぶつけずに、信頼できる大人や相談窓口に吐き出してみてください。親が感情を安全な場所で話せることは、家庭全体のゆとりを守ることにもなります。

埼玉のご家庭へ——9月前に一度、相談してみませんか

富士見市・ふじみ野市・志木市・新座市・朝霞市・和光市・川越市など東武東上線沿線では、夏休み明け前後に「また相談に来た」という保護者の方が増える時期があります。「まだ迷っている段階」「何も決まっていない」という段階でも、一度話すと気持ちが整理されることがあります。

  • 富士見市 教育相談窓口(教育援護会が委託運営)——夏休み中も問い合わせを受け付けています。「9月の動き方を一緒に考えたい」というご相談も歓迎です
  • スクールカウンセラー——在籍している学校に確認を。2学期開始前に面談が入れられることもあります
  • 各市の教育委員会・教育相談センター——ふじみ野市・志木市・新座市・朝霞市・川越市・坂戸市・東松山市など各市に相談窓口があります

「なんとなく気になっている」という段階でも、相談しすぎることはありません。親御さんが夏の終わりの不安を一人で抱えきらずにいられるよう、使える窓口を早めに頭に入れておいてください。

編集部から

夏休みの終わりは、不登校のご家庭にとって「もうひとつの4月」のような時期です。「また行けなかったらどうしよう」という恐れと、「もしかしたら行けるかも」という期待が入り混じるなかで、親も子も揺れています。

「学校に戻ること」だけが、秋の成功ではありません。この夏を生き延びて、体が少し回復した——それだけでも、確かな前進です。

9月1日は、日本の子どもたちにとって特別に気持ちが重くなる日だということを、おとなが知っていること、忘れないでいること——それが、子どもを守る力のひとつになると思います。

教育援護会について

本サイト「教育援護会」は、埼玉県富士見市を拠点に教育・子育てのサポートを行うNPO法人です。富士見市から教育相談窓口の委託を受けており、不登校サポート・学び直し・独自奨学金・地域ボランティアを通じて、お子さま・保護者・地域に寄り添う活動を続けています。

  • 🌱 不登校生サポート・保護者相談
  • 📘 学び直し・高卒サポート
  • 💴 独自奨学金制度・教育ローン
  • 🎵 チャリティコンサート(収益は奨学金活動へ)
  • 🧹 地域ボランティア活動

「相談していいのかな?」と迷うレベルでもまずはお声掛けください。お問い合わせフォーム または kyouikuengokai@gmail.com までメールでどうぞ。

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