「朝、どうしても起きられない」——起立性調節障害と不登校の関係、親が知っておきたいこと
何度声をかけても起きられない。昼になるとケロッとしている。「やる気がないだけ?」「ただサボっているだけ?」と思いながらも、どこかで「何かあるんじゃないか」と感じている保護者の方は多いのではないでしょうか。
不登校のお子さんの中に、「起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)」という身体疾患が背景にあるケースが一定数あります。「気持ちの問題」ではなく体の調節機能の問題であることが、診断によって初めてわかるというご家庭も少なくありません。今回は、起立性調節障害の基礎知識と不登校との関係、そして家庭でできるサポートについてまとめました。
起立性調節障害とは何か
起立性調節障害は、自律神経の働きが乱れることで、立ち上がったときに血圧や心拍数の調節がうまくいかなくなる疾患です。小学校高学年〜中学生に多く見られ、日本小児心身医学会の資料によれば小中学生の約5〜10%に何らかの症状があるとされています。
主な症状は以下のようなものです。
- 朝、起きようとしても体が動かない・頭が重い
- 立ち上がると立ちくらみがする・気分が悪くなる
- 午前中に症状が強く、午後〜夜になると比較的楽になる
- 頭痛・腹痛・倦怠感が慢性的に続く
- 長時間立っていると気分が悪くなりやすい
重要なのは、これらは「本人のやる気の問題」ではなく、体の調節機能の問題だということです。本人は「起きたいのに起きられない」という状態にあることが多く、「サボっている」と思われることへの葛藤や自己嫌悪を内側に抱えています。
なぜ不登校につながりやすいのか
起立性調節障害の症状は、まさに「学校に行く時間帯」に最も強く出ます。朝7〜8時台は血圧が低い状態で、体が起き上がれない。だから登校することが物理的に難しくなり、欠席が積み重なって不登校状態に移行するケースがよく見られます。
「毎朝起きられない」が繰り返されると、本人はだんだん「自分はダメだ」「みんなに迷惑をかけている」という感覚を持つようになります。体の問題が、気持ちの落ち込みや引きこもりにつながっていくことも少なくありません。
文部科学省の2023年度調査でも、不登校の要因の一つとして「身体症状(起立性調節障害を含む)」が挙げられており、体と心の両面からのアプローチが重要だとされています。
「まずやること」——受診と診断の大切さ
「朝に起きられない」状態が2週間以上続いている場合は、まず小児科かかかりつけ医に相談することをおすすめします。起立性調節障害には診断基準があり、専門医による検査(起立試験など)で確認できます。
診断を受けることの意味は、病名がわかるだけではありません。
- 学校への説明がしやすくなる(「体の病気で登校が難しい状態」と伝えられる)
- 本人が「自分のせいではない」と理解できる(自己否定感が和らぎやすくなる)
- 適切な治療・生活改善につながる(投薬、水分・塩分摂取の指導、生活リズムの調整など)
富士見市・ふじみ野市・志木市・朝霞市・川越市・坂戸市などの東武東上線沿線では、小児科を中心に起立性調節障害の診療に対応しているクリニックが増えています。「ひょっとしたら?」と感じたら、まずかかりつけ医への相談から始めてみてください。
家庭でできること——体のリズムに合わせたサポートを
起立性調節障害と診断された(あるいはその疑いがある)場合、家庭でできることをいくつかご紹介します。具体的な対応は必ず医師の指示を優先してください。
水分・塩分をこまめに補給する
脱水は症状を悪化させます。1日1.5〜2L程度の水分摂取と適度な塩分補給が推奨されることがあります(医師の指示に従ってください)。スポーツドリンクを薄めたものや、塩入りの飲み物を取り入れる家庭もあります。
急に立ち上がらせない
寝た状態からゆっくり体を起こす「段階的な起立」が症状を和らげます。「早く起きなさい」と急かすことが逆効果になることもあります。目覚めてから5〜10分ほどベッドの上で体を動かしてから、ゆっくり起き上がる習慣が有効なケースがあります。
活動できる時間帯を把握して学習に活かす
午後から夜にかけて体調が安定しやすい場合は、その時間帯に学習や活動を組み込む工夫が有効です。「昼まで寝ているのはいけない」という固定観念を手放し、体のリズムに合わせたスケジュールを考えることが大切です。無理に朝型に合わせようとすると、かえって症状が長引くこともあります。
「責めない・急かさない」を家の中で徹底する
本人は「早く学校に戻りたい」と思いながらも体がついてこない、という葛藤を抱えています。「なんで起きられないの」「もう少し頑張れば行けるでしょ」という言葉は、症状には何の効果もなく、本人の傷つきをじわじわと深めます。まず「体がつらいんだね」と認めることから始めてください。
よくある誤解と、気をつけたいこと
- 「気合いと根性で治る」は誤り: 自律神経の問題は意志力でコントロールできません。精神論で解決しようとすると、症状の悪化やうつ状態につながることもあります
- 外見上は健康そうに見える: 午後には普通に活動できるため、「昼間は元気なのに学校は休む」と誤解されがちです。学校や祖父母など周囲への説明に、医師の診断書が役立つ場面もあります
- 「成長したら自然に治る」とは限らない: 多くは成長とともに症状が軽減しますが、適切なケアなしに長引くケースもあります。焦りは禁物ですが、「放置していれば大丈夫」とも言い切れません
- 「不登校の原因はこれだけ」とは言えない: 起立性調節障害があっても、学校への不安や人間関係の悩みが重なっていることも多いです。体の問題と心の問題は切り離さず、両方に目を向けることが大切です
相談できる窓口(富士見市・東上線沿線)
「子どもの体調がずっとおかしい」「学校からの連絡が続いている」「どこに相談すればいいかわからない」——そんなときは、地域の窓口をぜひ頼ってみてください。
- かかりつけ小児科: まず「起立性調節障害かもしれない」と相談を。富士見市・ふじみ野市・志木市・川越市・東松山市など東上線沿線に対応クリニックがあります
- 富士見市教育相談窓口(NPO法人 教育援護会委託): 体調面も含めた不登校の相談に対応しています
- スクールカウンセラー: 担任の先生を通じて申し込み可能。学校内での合理的配慮についても相談できます
- 適応指導教室(教育支援センター): 富士見市・ふじみ野市・志木市・新座市などに設置。午後から参加できる場合もあります
編集部からのメッセージ
「なんで起きられないの」と思い続けた日々が、「体の病気だったんだ」とわかった瞬間——親も本人もほっとする、という声を相談窓口でよく耳にします。診断がつくことは「解決の終わり」ではなく、「一緒に向き合うスタート」です。
症状のある時間帯に無理に活動させるのではなく、本人のリズムに合わせて少しずつ日常を取り戻していくこと。親としてできることは「治させること」ではなく、「安心できる環境を守ること」かもしれません。焦らず、一歩ずつ。
教育援護会について
本サイト「教育援護会」は、埼玉県富士見市を拠点に教育・子育てのサポートを行うNPO法人です。富士見市から教育相談窓口の委託を受けており、不登校サポート・学び直し・独自奨学金・地域ボランティアを通じて、お子さま・保護者・地域に寄り添う活動を続けています。
- 🌱 不登校生サポート・保護者相談
- 📘 学び直し・高卒サポート
- 💴 独自奨学金制度・教育ローン
- 🎵 チャリティコンサート(収益は奨学金活動へ)
- 🧹 地域ボランティア活動
「相談していいのかな?」と迷うレベルでもまずはお声掛けください。お問い合わせフォーム または kyouikuengokai@gmail.com までメールでどうぞ。
親が働く間も、子の在宅学習を見守る「ホームスクール見守り」
起立性調節障害のお子さんは、体調の良い時間帯(多くは午後)に自宅で学習に取り組むことになります。「その間、仕事で家を空けていて大丈夫だろうか」と心配なご家庭のために、教育援護会は在宅学習を見守るアプリ「ホームスクール見守り」を運営しています。AIが学習をやさしくナビし、離席が続けば保護者にメールでお知らせ。無料で始められ、全機能でも月額1,800円です(小1〜中3対象)。▶ ホームスクール見守りの詳細を見る
